あの頃のぼくたちは、何も知らなかったね・・・

ただただ一緒にいることが当たり前すぎて、

離れ離れになるなんて思いもしなかった・・・。

あの時離れ離れにならなければ・・・ううん、そんなことは言わない。

これは僕が選んだ未来だから・・・道だから・・・



だけど、僕は君のことが好きだった・・・昔も、今も・・・






Innocent time



「また課題やってないんだろう?」
「・・・・なんで分かったの?・・・・」
「何年付き合ってると思ってるんだよ、こういうときにキラは絶対俺に何か頼みごとをする気だって、いやでも分かるよ」
「え!!僕そんなに考えが行動とか、顔に出てる?」
「おれは分かるけど・・・、多分他の人には分からないよ」
「へえ・・・アスランって、超能力者?」
「はあ?・・・・ったく、キラは変なことばっか言い出すよな・・・」
「む!!そんなことないもん!!ただ思ったから言ってみただけで・・・」
膨れつつあるキラの頬をツンツンつつきながら、アスランは微笑んだ。
そんなアスランの態度が 癪に障ったのか、キラは益々むくれた。
「そんなにむくれるなよ、早く帰って課題やらなきゃいけないんだろ?」
「・・・・そうだけど・・・」
「じゃあ、行こう?ちゃんとおれも手伝うし。ね、キラ」
「・・・うん、アスラン」
漸く機嫌を直したのか、キラは笑顔で差し伸べられたアスランの手をとった。


この頃、巷ではプラントと地球で戦争が起こる、と不吉な噂が流れていた。
確かに 不安要素はたくさんある。何しろ、今キラとアスランが住んでいる月のコロニーでさえブルーコスモスの活動が活発化
しており、 ナチュラルとコーディネイター同士の仲も、ギクシャクし始めているのだ。また、プラントへ移住していくコーディ
ネイターも日に日に増していっていた。キラとアスランの級友もその数を減らしつつあった。
キラとアスランの級友もその数を減らしつつあった。
しかしキラとアスランにはそんなこと全く関係なかった。なぜなら、戦争が起こるなど微塵にも
思っていないからだ。 非難する者たちの考えが理解しがたかった。


ねえアスラン、ここの接続は・・・」
「ああ、そこは右のやつと左から3番目のやつを・・・」
「・・・・・・なんで背中合わせなのに分かるの?」
「キラのスピードくらい分かるよ!!何年手伝ってると思ってるんだ!?」
背中合わせに座っているはずのアスランがこちらを見ることもなく事細かに指示を与えたりすれば、疑問を持たないのはおかしく
ないはず、とキラは思ったのだが、どうやらそれは間違いだったようだ。
「・・・・それ何回も聞いた・・・」
「じゃあ、何回も言わせるな。って、手を止めない!!」

「小姑・・・」

「キーーーラーーー(怒)」
こっそりと呟いたはずの言葉は、アスランの耳に、きちんと届いていた。
背中に感じる怖い視線と雰囲気。このままでは説教されることになってしまう。キラはそう結論に辿り着くと、すかさず逃れるための
策を考え始めた。
「・・・・・逃がさないよ、今日は」
「ぇえ!?」
「忘れているだろうけど・・・今日おれはここに泊まるんだよ?」
「・・・・・・・・・・」
にっこりと、今の状況ではなかったら見惚れていただろう笑顔を向けられながらキラは冷や汗をかいた。そういえば、今日はアスラン
の母親が仕事のため家に帰れないので、アスランは兄弟同然のように育ってきたキラの家に泊まることになっていたのだった。
「・・・・アス、ラン・・?」
「夜、覚悟しとけよ」
「・・・・・・・ゆ、許して・・・・」
「あげる・・・わけないだろう?」
「ハハハ・・・・・やっぱり・・・」
乾いた笑い声とともに、キラは涙をぬぐいながら自分の失言を反省していた。
そのよ、キラが泣いたのは言うまでもないだろう。


「アスラン、君は・・・その」
「おれはキラが1番好きだよ?」
「え・・・」
ある日、2人は休日を利用して公園の森の奥深くまで来ていた。ここは滅多に人の来ない場所で、キラとアスランのお気に入りの場所でもあった。
2人で何をするわけでもなく、ちょっとした空間に寝そべっているだけだった。言葉がなくても、沈黙状態でも心地よい安心感があった。
そんな中、珍しくキラが声をかけてきたのだった。
「え、って、おれに聞きたいことはそれじゃないの?」
「そ、そうだけど・・・・・・・でも、どうして?」
顔を真っ赤に染めながらキラはあたふたしていた。質問すら言っていないのに答えが返ってくるとは思っていなかったから。
アスランは余裕ある微笑を浮かべながら、キラの耳元に顔を近づけ囁いた。
「ずっとキラを見てきたから、大好きなキラを、ね」
「/////アスラン!!!!」
「落ち着けって、そんな暴れなくても」
「う、うるさい!!馬鹿ーー><」
ぽかぽかアスランを殴り始めたキラを押さえながら、アスランはキラにとどめの一発とでも言わんばかりの言葉を送った。


「愛してるよ、キラ」

「・・・・ぼくも、アスランのこと愛してる・・」



ぴた、と攻撃の手もやみ、ほんのり紅く頬を染めながらもキラはアスランの言葉に答えた。
そして、どちらからともなく目を閉じ、その唇はふさがった。


まるで神聖な儀式のように・・・・




そして、それからしばらく経ったある日、キラはアスランがプラントへ避難するという話を耳にするのだった。




「ねえ、キラ。約束しない?」
それは、アスランと過ごす最後の夜でのことだった。いつものように同じ布団にもぐりこみ夜空を見上げているとき、言い出したのだった。
「約束?」
「うん。いつか・・・いつか2人で地球の森を探検しよう」
「地球の・・・森?」
「そう。つきの森もそれなりにいいけど、やっぱり人工のものだからね」
「・・・そう、だね。それに地球だったら野生の動物とか居るかもしれないね」
月の森は公園ということもあり、鳥や魚以外の動物は生息していなかった。
「うん、だから」
「うん、約束しよう」
小指と小指を絡ませ約束を交わした。
そして、互いの体を強く抱きしめあいながら眠りへと落ちていった。


いつか、一緒に地球の森で・・・・






運命とは残酷なもの。
それをぼくらが知ったのは望まぬ再会の中。


そして、約束した地球の森で


剣を交え


互いの命を奪い合っている今・・・・



「いつか、必ず行こうね」
「うん、絶対に」


無邪気に笑いあい交わした約束は自らの手で粉々と砕け散る。
流れた涙は、いったいいくつの想いを宿しているのだろう・・・






短編アップです。結構意味不明なものになってしまいましたが。トール・・・ごめんよ
相河は君の死も悲しかったがアスとキラの戦いのほうが痛かったです。
そのうちトルミリ小説とディアミリ小説を書きたいです。・・・今日のミリィ、可哀相でした。
来週もまだ暗そうだな・・・(てか絶対暗い気がする・・・><)

2003/5/3/sat



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