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カエラヌトキ





爆音が鳴り響く。

火炎が舞う。

「おい、キラ!!キラ、返事しろ!!」

アークエンジェルから入ってくる通信。

この声は・・・サイだ。あのときからほとんど話していない。

ミリアリアの声も聞こえてくる。

キラは自分を非難するように笑い、 そして頭を振った。

今は戦闘中なのだ。

「砂漠の虎」だけでも厄介だというのに、目の前にはこのストライクと同じガンダム、 デュエル、ブリッツ、バスター

そしてイージスまでもいる。

フラガ少佐はもうすでに大きなダメージをくらってAAに帰還していた。

絶体絶命。

まさにこの言葉がぴったりだな・・・

「キラ!!前方からも敵機が迫ってくる!!」

「カガリ・・・」

「?・・・なんだ?」

「・・・いや、なんでもない。敵機の数は?」

「およそ20」

「了解」

カガリに言いかけて、飲み込んだ言葉。

いったいぼくは何を言おうとしたんだろう、とキラはまた自分を嘲笑った。

もう、なんの躊躇いもなく敵機を爆破するようになって久しい今日。いったい自分は何を迷っているのだろう。

戦争なんて、関係なかった自分はもうどこを探したっていない。

そして、裏切り者の汚名を一生背負わなくてはいけないのだ・・・

「・・・そんなの、分かってたはずだったんだけどな・・・」

今が戦闘中だということも忘れて、キラは考えふける。意識が別のところに あっても、体は戦争になれ、勝手に動いてくれる。

――――これは良いことなんだろうか、悪いことなんだろうか・・・・

そんなこと知ったこっちゃないが、そう思わずにはいられなかった。

「キラ、危ない!!!!」

「え・・・・」

気づいたときには地面に隠されていた爆弾の直撃をくらっている、

はずだった。

すさまじい音を立てながら、爆炎は空を舞う。

「・・・・ぁ・・・そ・・・」

何故自分は無事なのか、震える体は固まったまま。

脳裏では、真実をささやいている。しかし、



シンジタクナイ




直撃をくらう前、何かに押された感覚があった。

あれは・・・一体なんだったのだろう。



ホントウハワカッテル・・・デモ




爆炎が空に舞い上がる中、紅がチラチラと見える。

炎とは違う、紅が・・・



シンジツヲミツメナクチャイ ケナインダ・・・ケド、




「キラ!!キラ!!応答しろ!!無事なのか?」

「・・・サイ・・・ぼくは・・・生きてる・・?」

「キラ・・・良かった、無事だったんだな」

安堵する彼の声。

けれどキラの体は未だ小刻みに震えたまま。

死ぬかもしれないという恐怖ではない。

これは・・・・・きっと、現実を認めたくないだけ・・・

「・・・カガリ、あの爆炎には・・・」

「・・・イージス・・・それが巻き込まれた」


イージスガマキコマレタ・・・




頭の中でその言葉が繰り返し流され、真っ白になった。

イージスが巻き込まれた。

けれど、巻き込まれたはずの自分はここに生きている。

おかしな矛盾。

しかし、事実は呆気ないものなのだ。


答えは簡単なことだった。

爆弾の直撃をくらう寸前、傍にいたイージスがストライクを押し飛ばしたのだ。

有らん限りの力で。


「嘘・・・だよね・・・なんで?どうして」

「キラ?キラ、無事なのね・・・良かった・・・まだ戦える?」

「・・・い・・・れ・・・」

「え?」

「うるさい!!黙れ!!!」

口から出たのは、普段言うはずのないセリフ。

しかも、今となってはたった一つの居場所である味方に向かって。そして、自分を守るといった少女に向かって。

「キラ・・・?」

「おい、キラ!!なんて事を」

「・・・・・なんで・・・・どうして・・・」

「・・・キラ?」

通信されてくるのは、 先ほどから同じものだった。

ただ、何で、どうして、と何度も何度もつぶやく声ばかり。

映像に映し出されているキラは―――――涙を 流していた。


正確には、小さな子供が泣きじゃくっているようだったのだ。

「キラ・・・?」

「・・・信じたくない・・・認めたくない・・・・」

イージスがストライクをかばったなんて、あの人が自分をかばったなんて・・・



ソンナニシンジタクナインダッタラ・・・タシカメレバ?




内なる声の誘惑は甘美で、そして今のキラにとって行動 を起こさないほうがおかしかった。

敵方も、今の光景が信じきれていないのかこちら同様固まっていた。

キラは、なんの躊躇いもなくハッチを開けると、勢いよく外へと飛び出した。

後方から声がしていても今のキラには何も届かなかった。

ただ、確かめなければという思いだけが、存在した。


「何をしているんだ!?こんな状況で外に出るなど・・・自殺行為だぞ?」

「ちょ・・・っと、キラ!?何やってるの?早く戻ってよ!!敵はたくさんいるのよ!?・・・全部やっつけてよ!!」

何かに取り付かれたように狂い叫ぶ 彼女を誰もとめはしなかった。

否、できなかったのだ。

キラの行動に、誰もが言葉を失っていたから。


「キラをとめてくる」

「カガリ!?」

「・・・とにかく連れ戻す。今のキラは・・・危険だ」

自分の身を守れるように、武器を手に持ち、カガリはAAから飛び出した。そして、辺りを窺いながらキラへと走った。

彼女を見送ったクルーたちは、やはり何も言えずただただことの成り行きを見守るしか出来なかった。


「キラ!!何をやっている・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・キラ?」

「・・・・夢だったらいいのに、って・・・そう思って来たんだけどさ・・・」

未だに衰えを知らぬ火炎は高き空へと舞い上がる。

そして、その中に立ちすくむキラは熱風など感じていないのだろう。

ただ、ひとつの方向しか目に入っていなかった

「夢じゃなかった・・・・確かにあの人は、ここにぼくを庇ってここに・・・・」

「あの人?キラを庇って?」

「何でだろうね・・・・裏切ったのはぼくなのに・・・なのに何であの人は、アスランはぼくなんかを庇ったんだろ・・・」

キラの瞳からは、涙が後から後から溢れ出てきていた。

こんなときどんな言葉をかけてやればいいのだろう・・・

普段から言葉に不自由していたカガリは、ただ見ることしか出来なかった。

目の前には、イージスの機体の残骸。

パイロットが何故キラを庇ったのかなんて本人にしか分からないことだ。そう、本人にしか・・・


「キラ・・・帰るぞ・・・」

「いやだ!!・・・ぼくは帰らない・・・」

「何を言ってるんだ!!ここは危ないんだぞ?いつ炎が襲ってくるか・・・・」

腕を引っ張っても動こうとしないキラに、カガリは苛立つ。まるで駄々をこねるように一歩も動こうとしないキラ。

「・・・・死ぬつもりなのか・・・」

「・・・それも、いいかもね・・・・」

「馬鹿なことを言うな!!自ら死のうと考えるなど・・・」

「もう嫌なんだよ!!・・・最初はただ皆を守りたくて戦ってた。けど、だんだんとそんなの関係なくなって、躊躇ってた

はずの戦いに進んで身を投じてた」

「キラ・・・・・」

「けどね、心のどこかでもう嫌だ、って叫んでたんだよ。ぼくはそれを無視し続けた。だって認めれば戦えなくなる。

それだけは、許されないことだから・・・」

まだかすかに震えている手をぎゅっと握り締めながら、キラはカガリを真正面から見据えた。

「けどね、とうとう気づいちゃった・・・もう、戦えないよ、ぼく」

「それでも・・・戦えなくても、戻らなければならない。皆お前を心配している」

「そうかもね・・・・けど、もう疲れちゃっててさ、動きたくないんだ・・・」

「帰る気はなくとも、私はお前を迎えに来たんだ」

「けどぼくは帰らない」

「・・・・そうか、ならば力尽くでも連れて帰る!!」

言うが早いか。カガリはキラの鳩尾を殴り、気絶させた。 そして、肩に担ぎ上げAAへと急いで戻った。


「キラ、目覚めた?」

「・・・・ここは・・・・アーク、エンジェル?」

「そうよ。カガリが気を失ったキラを連れて帰ってきたときは吃驚したけど、火傷も軽症だし後は体力を回復させる

だけね」

まだ覚醒し切れていない意識。

キラは、真上にある天井を見つめた。ただただ見つめ続けた。

「キラ!?キラ、目覚めたの?」

「ああ、フレイ・・・一応目覚めたけど、まだ本調子じゃないから・・・」

「そう、でも良かった・・・・怪我とか、痛まない?」

無邪気に顔を覗き込んでくるフレイ。そのフレイの視線には、奥底から感じるものがあった。

例えていうならば、どこか屈折した心配と抱えきれない憎しみ

キラはそんな視線から逃れるように、顔をそらし、焦点の合わない瞳でどこかを見つめた。

「キラ?」

「・・・・・」

今までフレイに対しこんな態度を取ったことがなかったのでフレイは驚いたようだ。どこか焦ったふしが見られる。

そんな風に、冷静に考えてる自分を発見して、キラは自分を嘲笑った。


「キラは目を覚ましたか?」

「あ、カガリ」

「カガリ・・・」

ぶっきらぼうの声とともに、カガリが室内に入ってくる。キラは、虚空を見つめていたまなざしをカガリに向けた。そして精一杯の声で、言った。

「どうして、ぼくをあそこに置いて帰らなかったんだ・・・」

「あそこでも言ったが、お前を連れ帰るために私は行ったんだ」

「ぼくはそんなこと望んでもいなかったし、頼んだ覚えもない」

「・・・・まだ、言うのか?まだ死を望むのか!!」

「・・・・・それもいいかもしれない、と言ったはずだ。・・・・戻ったって意味はないんだ・・・今のぼくじゃ」

手を硬く握り締め、キラは苦しそうに、言う。

キラの心を分かるのはカガリのみ。しかし、そう易々とキラが自分の命を絶つのを見ていられるわけもなかった。

ミリアリアとフレイは、2人の会話の意図が掴めず、しかし深刻な話だと気付いており口を挟むことはなかった。

「さっきも言ったとおり、ぼくはもう戦えないよ・・・」

「え!?」

「・・・・そしたらここにぼくの居場所はないんだ。ううん、この世界の何処にも・・・」

「そんなことは!!」

「ない、って言い切れるの?言い切れないでしょ・・・現にフレイなんかは戦えないぼくなんて必要ないだろうし

ね・・・」

「・・・・・そ、そんな・・・事は・・・・」

焦る少女を見つめながら、キラは心がパラパラと崩れていくのが分かった。

「馬鹿なんだよ・・・・ぼくなんか庇うから・・・・さっさとぼくを討てばいいものを・・・・」

「キラ・・・・」

「馬鹿だよ・・・アスランは馬鹿なんだよ!!!」

体を丸め泣き叫ぶキラに、ミリアリアも、キラを守ると言ったフレイも何も言えなかった。こんなときにかける言葉は

見つからなかった。

このままいつまでも泣き続けそうなキラ。

カガリはそんなキラの体を抱きしめ、ただ泣き止むのを待った。

まるで、母親のように―――――




ネエ、アスラン。イマボクガソッチヘイッタラ・・・

キミハオコル?











以上、終わりました。
にしても暗いですね〜〜自分で書いててなんですけど。
これ実を言うと他人様に差し上げたものなんですよ。 しかもけっこう前。
だから所々変なんですね、これが・・・。そのうち修正したいなあ・・。

何かご意見ご感想あればメールまたはBBSで。何でもいいので貰えると相河は喜んで
パソの前で小躍りしますvv


2002/4/12/Sat

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